2012年12月17日月曜日

「狙う能力」。錦織圭(テニス)

「トップ10に勝てない選手なんて、トップを狙えない」

テニスの「錦織圭(にしごり・けい)」の野望は、世界ランキング・トップ10選手たちを撃破すること。そして、自身がトップに躍り出ることだ。



昨年11月、錦織は世界ランク1位(当時)のジョコビッチをスイス室内で初めて破った。

しかしその後の決勝戦では、不動のビッグ4の一角、フェデラーに完敗を喫してしまう。



「ジョコビッチに勝って、自信は当たり前にありましたけど、フェデラーには『こてんぱん』にやられてしまいました…」と錦織。

ジョコビッチを破った喜びは、決勝で待ち構えていたフェデラーによって帳消しにされてしまった。錦織の自信は一気にしぼんだ…。



「守ってばかりでは勝てない、というのを改めて感じました」

トップ10選手たちを相手に、先に攻められてしまっては「全部やられてしまう」。

「それで、『攻めよう』、そう意識しました」



オフシーズンの間に、より攻撃的なテニスに軌道修正したという今季の錦織。

「もうちょっと攻めるテニス」

それが2012年バージョンの錦織であり、トップ10撃破を強く意識した錦織であった。



しかし、結果は思うようにはついてこない。

4月のバルセロナ大会は腹筋のケガで準々決勝を途中棄権。続く全仏も欠場。ウィンブルドンでも3回戦敗退。アトランタでは添田豪にまで完敗…。

「最悪でした…。いい試合は一つもありませんでした…」



そんな不安の中に迎えたロンドン・オリンピック。

「何かを変えなければ…」。立ち直りのヒントもキッカケも見つからなかった錦織は、もはや背水の陣にまで追い込まれていた。

ただ確かなのは、「今までと違うことをしなければ…」ということだけだった。



「何が起きても攻めよう!」

負けを恐れずにラケットを振り抜いた錦織。そしてもたらされた「久々のトップ10選手から奪った勝ち星」。

3回戦で当たった世界ランク5位のフェレールに錦織は攻め勝った。そしてその勝利は、日本男子としては88年振りとなる「オリンピック8強入り」という快挙ともなった。



「ふっきれた」

オリンピック後、錦織は自身のブログにそう書いた。

狂いかけていた歯車は、オリンピック後から徐々にかみ合い始める。

「急に来ましたね(笑)。クアラルンプールで久しぶりのベスト4。急に打破できました」

そして、続く日本での楽天オープンは優勝。「突然の覚醒」だった。



昨季の世界ランク25位から、今季は19位にまでランクを上げた錦織圭。目標としていたトップ20入りを果たすことになった。

世界ランキング以上に錦織が重きを置いていた「トップ10との直接対決」。その結果は3勝5敗(勝率38%)でツアー全体の10番目。

「悪くないですね。早くトップ5にも勝ちたいです」と錦織。



来季はいよいよ、錦織自身のトップ10入りも現実的な目標になってきた。

次のターゲットとなるのは、不動のビッグ4(ジョコビッチ・フェデラー・マレー・ナダル)に世界ランク7位のデルポトロを加えた「トップ5」。



今の錦織にはもう「追撃の準備」は整った。

彼には十分に「狙う能力」が備わっている。

「早い段階で勝っておきたいです」






ソース:Number
「迷いの日々、そして突然の覚醒 錦織圭」

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