2013年4月4日木曜日

「いぶし銀」ミラー。チームを支える「陰の一流」(NBA)



「まるでレーシングカーの中に『ワゴン車』が一台だけ混ざっているようだ」

アメリカNBAデンバー・ナゲッツの若々しく活きのいい選手たちは、皆レーシングカーだ。

その中にあって、アンドレ・ミラーはどう見ても「ワゴン車」だ。チーム唯一の30代、しかも37歳(!)である。



「チームメイトたちがチーターのごとく無尽にコートを走り回り、シューズにバネが仕込まれているかのように高く跳んでダンクを決める。そんな中、特に足が速いわけでもないミラーは、地を這うようにプレーをしている(Number誌)」

それでも、ミラーはチームに無くてはならない存在である。



「彼はチームの良識だ」とチームメイトのタイ・ローソンは言う。

「みんなが速いテンポでプレーしすぎていると、ミラーはテンポを落として、簡単なプレー、簡単なシュートを決め、チームをあるべき形に戻してくれるんだ」

若手の選手たちが伸び伸びとプレーしている陰で、ミラーは目立たないながらも、若手らのプレーをグッと引き締め、そして際立たせているのであった。



ナゲッツのヘッドコーチ、ジョージ・カールもミラーを絶賛する。

「ミラーのように、実際に起こる前にプレーを感じ、見ることができる選手は、他にあまりいない」と。



ミラー自身は、こう語る。

「自分ができないことはやらない。シンプルに戦うようにしている」と。

彼は14シーズンの長きにわたり、変転激しいNBAでその存在感を示し続けてきた。ミラーは今年1月、NBA史上8人目となる1万5,000得点プラス7,500アシストの記録を達成している。



若い頃から、ミラーにはスピードもクイックネスもなかった。

「速く走らなくても、高く跳ばなくても一流のプレーはできる」

チームの「いぶし銀」は、無言でそんなメッセージを若いメイトたちに伝えている。



「自分の持てるもの」だけでも輝くことはできる。

運動能力至上主義など、クソくらえだ…!








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ソース:Number (ナンバー) WBC速報号 2013年 3/30号 [雑誌]
「ナゲッツ躍進を陰で支える”いぶし銀”ミラーの存在感」

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