2014年5月30日金曜日

石川佳純、自分の感覚 [卓球]




ロンドン五輪

女子卓球で、こんなシーンがあった。



試合中に、サービスを迷った石川佳純(いしかわ・かすみ)。

監督の村上恭和(むらかみ・やすかず)にアドバイスを求めた。



村上は「相手のバックハンドにロングを」と助言。

——ところが石川は、相手フォアハンドに短いサービスを出し、得点をとった。村上の助言とは真逆のプレーである(Number誌)。



試合後、石川はこう言った。

「相手の眼をみたら、監督と同じことを考えてる気がしたので、逆のサービスを出したんです」

それを聞いた村上監督、「それでいい」とうなずく。



村上監督は言う。

「石川は私の言葉を参考に、”自分の感覚”で決めた。それが一流です。ギリギリの場面で『監督、決めてください』という選手はダメです。







ロンドン五輪、女子卓球は銀メダル(日本初)という快挙を成し遂げた。だが、決勝では中国に敗れた。

中国との距離を問われた村上、しばしの沈黙のあとに口をひらく。

「4年間で追いつけるというような、そう簡単な力の差ではありません」






そして迎えた今年2014の世界卓球。

——地元開催の日本が大会を盛り上げ、女子が2位、男子が3位に入った。とくの女子の決勝進出は、東京大会(1983)以来31年ぶりのこと。断トツの中国につづき、日本が2番手の地位を固めたことを世界に示した(Number誌)。






中国の壁は、万里の長城よりも高く固い。

石川佳純も決勝では、李暁霞(り・ぎょうか)にストレートで敗れた。



それでも村上は

「中国に通用したのは石川だけ」

と答えた。










(了)






ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2014年 6/5号 [雑誌]
村上恭和「卓球は自分の頭で考え、行動しなければ勝てないんだ」



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